2009年07月10日

映画『愛を読むひと』を観て

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『愛を読むひと』を観てきた。
全世界500万人が涙したベストセラー小説「朗読者」の待望の映画化。

この映画でケイト・ウィンスレットは、アカデミー賞主演女優賞と
ゴールデン・グローブ賞に輝いた。
彼女の体当たりの演技は素晴らしかった。

そして、もう一人の主人公マイケルは、2人一役。
少年時代を演じたデヴィット・クロスの初々しさと、
レイフ・ファインズ演じる大人になったマイケルの哀愁溢れる姿が対照的だった。

しかし、この映画を観た後、何か釈然としないものが残った。
曇天の空の様だ。

舞台は1958年、大戦後のドイツ。
15歳のマイケルは、21歳年上の女性ハンナと激しい恋に落ちた。
36歳の大人の女性が果たして15歳の少年に本気になるだろうか?
多分最初は遊びのつもりだったに違いない。
孤独なハンナにとって、自分を必要としてくれるマイケルが
徐々に愛しい存在になってきたことは否めない。

しかし、彼女は決して本気ではなかったのではないだろうか。
マイケルを「Kid」と呼び、まるで「坊や」とからかっているようだ。
感情の起伏が激しく、いつも何かに怒っている様なハンナ。

2人が知り合って間もない頃、怒鳴りあって喧嘩をするシーンがある。
ハンナが言うセリフが酷く寂しく私に響いた。
確か、映画の中では英語でこう言われていたと思うのだが...
「You never make me upset.」
字幕では「あなたに私を怒らせることなんて出来ないわ」となっていたはず。
「あなたは私が本気で怒るような相手じゃない」という思いが隠れているように思う。

文盲であることを隠し続けたハンナの人生。
そのために事務職に昇級した途端に姿を消してしまったり、
不当な証言を受け入れて無期懲役にまでなってしまう。

このような破滅的なハンナの心理を理解するのは難しいが、
彼女にとっては文盲であることを知られるのが
何よりも恥じることだったのだろうか...
刑務所からの出所を前に、ハンナが自殺という選択をした背後にも、
やはり「恥」という言葉が見え隠れしてならない。

マイケルに何もかも知られてしまったという無念さ。
しかも、彼が保証人となってくれたお陰で出所できる自分の惨めさ。
昔、一途に自分を求めた少年の前では、いつまでも彼の理想の女で有り続けたい
という願望がハンナの中で生まれていたのではないか。
ある意味でハンナは破滅的な、しかし誇り高い女性だったというべきか。
彼女こそ、マイケルにとっては生涯のマドンナだったのだろう。



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posted by Dr. Lingua at 03:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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